ロッテお家騒動その後

以前から注目しているロッテのお家騒動に新たな展開がありました。
まず、これまでの流れを簡単におさらいしましょう。ロッテグループはそもそも創業者である重光武雄氏を筆頭に長男の宏之氏が日本のロッテ、次男の昭夫氏が韓国ロッテの経営権を握っていました。しかし昭夫氏がロッテ日本法人の佃孝之氏と手を組んで兄である宏之氏をロッテグループから追放しました。その後、昭夫氏の策略に気付き宏之氏をロッテグループに復帰させようとした父・武雄氏までもが退任させられてしまい、実質的に次男・昭夫氏の独裁体制になってしまいました。
しかし、全て思い通りに事が運んでいたかのように見えた昭夫氏にも落とし穴がありました。2016年に韓国の朴槿恵前大統領とその友人で実業家の崔順実を中心とした崔順実ゲート事件と呼ばれる裏金疑惑が浮上しました。その中で20182月に昭夫氏に朴槿恵前大統領への贈賄罪で懲役26ヶ月の実刑判決が下されたのです。前年12月に既に横領罪で執行猶予付き有罪判決を受けていた昭夫氏は、この贈賄罪の実刑判決で即日収監されました。
これを受け昭夫氏は自らロッテホールディングスの代表権を返上し、佃孝之社長が単独で代表を務める事になりました。しかし昭夫氏は代表権を返上後も取締役副会長としてロッテホールディングスに残り、現在も獄中経営という形が取られています。
 
獄中経営という馴染みのない言葉を目にして大変驚いたのですが、韓国では一般的な事だそうで、今後ロッテホールディングス株主総会で昭夫氏を解任するという事もなさそうだといいます。
韓国では一般的だと言われても、ロッテは日本でも大きな企業なので違和感を感じてしまいますね。日本ではコンプライアンスに対する意識が非常に高いので、日本ロッテと韓国ロッテの間で温度差が生じるのではと感じますが、実際にロッテ日本法人において外部専門家を入れたコンプライアンス委員会が発足しているそうです。しかし、ロッテ経営陣は今回の不祥事を黙認しているようで、このコンプライアンス委員会も機能していないのが現状です。
韓国と日本では文化も考え方も違うのは当然なんですが、やはり日本でも影響力の小さくない企業として誠意ある対応を期待したいと感じます。